おじさまが書いた少女小説
初めて川端康成を読んだ。
初めて読むのが『雪国』でも『伊豆の踊子』でもなく…
川端康成『親友』
- 作者: 川端康成
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2015/12/08
- メディア: 単行本
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わたしは最初、こんなおじさまがこうした「少女文学」を書いているなんて、少し気味が悪いとおもいました。
でも、それは読みすすめるあいだに、少し違うのだと感じたのです。
それこそ少女が読むのにちょうどよい、やさしい文体で書かれていたのですが、登場人物たちの心の深くを考えると、とてもむつかしくて、「かなしい」「うれしい」「つらい」「たのしい」といった感情ではあらわすことのできない、なにかとても素敵な話だったのです。
と、まあ、結構「え、これ子供向きか?」と思う複雑な話でした。
父のいない、母と二人暮らしの女の子が、母の再婚相手になりそうな金持ちのおじさんを受け入れられないんだけど、おじさんが没落して、その上脳腫瘍で視力も失ってしまう。
その女の子と、女の子の親友の心理の話。
『乙女の港』も読みたい。